第341章

 周囲の雑音が前田南の耳に届くたび、彼女は顔を伏せたくなるような居心地の悪さを感じずにはいられなかった。

 人々は望月琛を「望月社長」と呼び、自分のことは単に「望月さんの奥さん」と呼ぶ。

 二人が並んで立てば、南が仕事でどれほどの実績を上げていようと、誰もが真っ先に望月琛を見るのだ。

 自分はあくまで、望月琛の妻という付属品にすぎない。

 考えれば考えるほど、南の心は鬱屈とした色に染まっていく。望月琛に連れられて控室に入り、彼に声をかけられるまで、南は自分がソファに座らされたことさえ気づかないほど上の空だった。

「南、どうしたんだ? 顔色が悪いぞ」

 望月琛が心配そうに覗き込んで...

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